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高森明勅
2023.7.3 07:28皇統問題

『週刊朝日』が以前行った「女性天皇」国会議員アンケート

 

出版不況の中、週刊誌も軒並み苦戦を強いられている。
そうした状況下、百年を越える歴史を持つ『週刊朝日』が、
令和5年6月9日号で休刊することになった。

そこで思い出すのは、同誌が以前、国会議員を対象に
「女性天皇」を巡るアンケートを実施していたことだ
(令和元年11月1日号)。

その結果を振り返ると以下の通り
(合計が100%を超えるケースも記事のまま)。

◎愛子さまが天皇に即位できるように皇室典範の改正をするべきか。
〇するべき→28%
〇するべきではない→8%
〇無回答・回答拒否→65%

◎女系天皇を認めることに賛成ですか、反対ですか。
〇賛成→29%
〇反対→13%
〇無回答・回答拒否→58%

◎旧皇族の復帰・女性宮家の創設についてどういう意見ですか
(※「旧皇族の復帰」は不正確な表現ー高森)。
〇旧皇族の復帰・女性宮家の創設に賛成→3%
〇女性宮家の創設には賛成→26%
〇旧皇族の復帰には賛成→6%
〇どちらにも反対→4%
〇無回答・回答拒否→62%

どの質問にも最大の比率を占めるのは、「無回答・回答拒否」。
実に58%~65%という高い数字だ。
これこそ、皇位継承問題の困難さを如実に示す事実だろう。

それは、国会議員らの無関心、無責任、「触らぬ神に祟りなし」
「火中の栗を拾いたくない」という、“腰が引けた”姿勢を
反映しているからだ。

勿論、このアンケートから現在までの間に衆参両院の
選挙が行われており、議員の内訳に変化があった。
又、この問題への関心の持たれ方にも多少の変化があるかも知れない。
だから、この数字をそのまま固定的に見る訳には勿論いかない。
しかし、それが劇的に改善しているとも、楽観できないのではないか。

国会議員の多くが無関心か、様子見を決め込んでいる。
その一方で、“確信的”な「男系男子」固執派は、それほど多くない
(6%~13%)。
このアンケートに表れている数字がおよそその実態を示しているだろう。
しかし、少数ながら“熱意と団結”で政界の「空気」をある程度、
左右できるポジションにいるように見える
(民間の「保守」系組織や言論人の後押しもある!)。

従って、皇位の安定継承を目指す皇室典範の改正の為には、
最も多数を占める「無回答・回答拒否」的スタンスの
国会議員をどれだけ味方にできるかが、重要な分かれ道になる。

しかし、これまで長年にわたり、民間の「男系男子」固執勢力からの
組織的・継続的な政界対策が積み重ねられて来た一方、
皇位の安定継承を目指す本格的な取り組みは、
ほとんどなされていない(恥ずかしながら私自身も、政界から
要請を受けた範囲で、僅かなお手伝いをしている程度に過ぎない)。

その意味で、近頃、漫画家の小林よしのり氏がご自身の近刊
『ゴーマニズム宣言SPECIAL 愛子天皇論』を、200人の国会議員に
寄贈されたことは、注目すべき動きだろう。
直近の参院選・衆院選の選挙期間中に、国民有志が全国規模で
候補者及びその周辺に対して、「愛子天皇」を可能にする
皇室典範の改正を求め、直接アプローチを行ったことと、
絶妙なタイミングでリンクしたと言える。

加えて、同書が広く国民に読まれれば世論喚起に繋がり、
世論が盛り上がれば“様子見”していた国会議員も、
態度をはっきりさせざるを得なくなるだろう。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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